冬が去り、さわやかな南風が吹く

お便り内容

神奈川県M.T.さん(35歳女性)

 

拝啓 高橋知子先生

この冬の寒さは厳しかったですが、ようやく暖かな風が感じられる季節になりましたね。そして高橋先生のおかげで、私の心にも今はさわやかな南風が吹いています。 こんな穏やかな気持ちになれたのは、いつ以来でしょうか これまでのことを振り返る形で、綴らせて下さい。

三十歳を過ぎて、父が認知症で要介護の身となり、しかも同時期に、母が不治の病に倒れ余命半年と宣告されるなんて、思ってもみませんでした。 それでも一人っ子の私には、昔から「いつか私が親の面倒を看るんだ」という覚悟があったので、「なんとかこの事態を乗り越えていけるだろう」という自信はありました。ただ、辛そうな母の顔を見ていられなかった。「私は一人でもやっていけるし、お父さんの面倒も看られるから大丈夫だよ」と母に話しても、 「そうはいっても一人娘だから心配だ」とつぶやくだけ。不治の病に侵された上に、大きな心配を抱えた母。そんな母の姿は、本当に見ていられませんでした。

そんななか、元夫との結婚を決めた一番の理由は、母の笑顔を見たかったから こんな理由で結婚を決めることは、彼に対しても、両親に対しても、そして自分自身に対しても、本当はすごく後ろめたかった。けれど、母が大好きだったので、 「母が旅立つ前に、なんとか安心させてあげたい」という気持ちが何よりも強かったのです。 彼は感じのよい人なのですが、彼に対して恋愛感情の弱かった私は、彼の好意に対し最初は「友達として」応えていました。けれど、両親がそろって病に侵されてからは、精神的に不安定となり、話を聞いてもらったり相談に乗ってもらったりと、彼に頼るようになっていました。

そして、彼は我が家の事情をすべて知った上で、「結婚しよう」と言ってくれました。彼を紹介すれば、母は喜ぶに違いない そんな気持ちから、彼を両親に紹介。母は涙を流して喜びました。その後、母は安心した気持ちで旅立ちました。

彼に対する恋愛感情は弱いままだったので、本当はその時点で結婚を思い留まればよかったのですが、母の死後、予想以上に精神的ダメージを受けた私は、「彼のようないい人と結婚し父の面倒を一緒に看ていくことが、自分にとって幸せなのではないか。彼のことは結婚後、もっと好きになればいい」と考え、入籍を決意しました。(彼には以前から、私の正直な気持ちは伝えてありました)

結婚後、彼のことをもっと好きになりたいと思い、私なりにいろいろ働きかけました。けれど、根が頑固な彼は自分を変えることができず、私の働きかけに応じることができませんでした。一方で彼は、自分からセックスを求めてくることがありませんでした。彼は私の恋愛感情の弱さを知っていたので遠慮していたらしいのですが、かえってその行為が私の気持ちをますます離すことになってしまいました。(最終的にはセックスレスになりました)

そしていつの頃からか、私の中に「できることなら、彼と別れてもう一度自分の人生をやり直したい」という気持ちが芽生えました。

けれど、そんな気持ちを誰にも言うことができなかった。認知症の父には話しても理解できない。というよりも、彼は結婚後も変わらずいい人で、父のことも大事にしてくれていたし、何より母のことで大きな恩があるのに自分の勝手で別れたいと思っているなんて、軽蔑されそうで姉妹のような存在の親友にさえ話せませんでした。そんな悶々とした毎日を過ごしている時に、インターネットで高橋先生の存在を知りました。「自分の正直な気持ちを誰かに聞いてもらえたら」という思いから、すぐに面談を予約しました。

穏やかで優しい口調。こちらを落ち着かせてくれるような雰囲気があり、この人になら何でも話せそう それが高橋先生の第一印象でした。だから、それまで自分の中だけに秘めていた辛い思いを、すべて打ち明けることができました。 先生はとても真剣に話を聞いて下さり、一緒に涙ぐんでも下さいました。そして、話をすべて聞いた先生は、私の顔をじっと見つめ、ゆっくりひと言おっしゃいました。「これは、離婚するしかないんじゃないの?」と。私は先生のその言葉に、本当に驚きました。というのも、自分の身勝手さをたしなめられたり、結婚生活には努力が必要だと諭されたりするとばかり思っていたからです。 その旨を先生に伝えると、 「私はね、何が正しいとか正しくないかではなく、その人がどうすれば納得でき、満足のできる人生を送れるか、ということを基準に考えるのよ」とおっしゃいました。

そう、先生のお言葉通り、本当は彼と離婚して人生をやり直したかった。けれど、それはすごく勝手なことだとわかっていたから、どうすることもできないでいた。でも先生の言葉を聞いて、私は自分の行きたい方向に背中を押されたような気持ちがしました。さまよっていた暗闇の中、初めて希望の光が見えたような思いがしました。 その後、サポートコースに入った私は、幾度かの面談を通じて自分の気持ちを改めて見つめ直し、 離婚に対する決意を固めてゆきました。そして約一年後、離婚が無事成立し、人生の再出発をすることができました。

離婚が決まって、ようやく私は親友にそのことを打ち明けたのですが、その際「高橋先生にカウンセリングをお願いして、いかによかったか」「先生がいなかったら、とてもスムーズに離婚なんてできなかった」というような話ばかりを、夢中になってしてしまいました。本当に先生にカウンセリングをお願いしてよかったと、心底思います。具体的に何がよかったのか、大きくは三つあります。

一つめは、離婚までの出来事・経過を予測し、それに対する解決策を立てて、その都度導いてくれたことです。「結婚は簡単だが、離婚は大変」とよくいわれますが、私は何が大変なのか全然わかっていませんでした。 そもそも当初私は、元夫と比較的スムーズに離婚できるのではないかと甘くみていたのです。というのも、彼は私の恋愛感情が弱いことを知っていたし、すでに私達は夫婦間でほとんど会話がなく、彼は私に無関心に見え、しかもセックスレスだったからです。だから離婚を切り出せば、彼も少しの時間で同意してくれるような気がしていました。

ところが先生は、「来年の今頃にはきっと離婚できるから大丈夫よ」とおっしゃる。「来年? えっ、そんなにかかるんですか?」 私がびっくりして尋ねると、「それはそうよ。だってあなたは、気持ちを整理して離婚を決めるまでに一年以上かかったんでしょう? 彼は離婚を切り出されたら、その時点から気持ちを整理し始めるんだから、どうしたって時間はかかるわよ」 私はその言葉に納得し、予定よりも早く離婚を切り出すことにしました。

そして結果的には、なんと先生の予測した時期に離婚が成立となったのです。そればかりでなく、離婚を切り出してからの彼の心情と反応・その変化と時期がほとんどすべて先生の予測通りに動いたので、あとで振り返った時に驚いてしまいました。

そして、先生は本当に夫婦の心情に精通している方なのだなぁと実感しました。だからこそ離婚成立までの間、基本的には先生のご指示通りに行動するだけで大丈夫でした。実際そうしたからこそ、最短で、最小限のいざこざ・労力で、離婚ができたと思っています。 もちろん離婚話なので、彼と一時はすごく険悪になりましたが、最終的には「別れても、何かあれば相談にのるよ」と言ってもらえました。「円満離婚なんてものはない」と世間ではいわれますが、私達の場合、結果的には円満離婚といえるような形になりました。これも、先生のご助言通りに行動したゆえのことだと、実感しています。

先生には数えきれないほどのご助言を頂きましたが、特に印象に残っているものを挙げてみたいと思います。私達には「セックスレス」のほかに、はっきりとした離婚理由がありませんでした。しかも彼には、母のことで恩があります。人柄もいい。つまり、私の身勝手で離婚をしたいのだということは、百も承知していたので、「できるだけ、彼を傷つけるようなことは言いたくない」と思っていました。けれど先生は、「曖昧な言葉じゃ納得してもらえないし、 離婚を切り出したら相手を傷つけることは避けられない。だったら、はっきりした言葉でスパッと切ってあげたほうがいい。曖昧な言葉でじわじわ切ると、かえって痛いのよ」とおっしゃいました。といっても初めのうちは、なかなかそれができなかった。けれど先生のお言葉通り、曖昧な言い方じゃ納得してもらえないことに気づいていき、次第にはっきりと彼に本音をぶつけられるようになりました。

そうすることで、やっと彼は諦めてくれました。また離婚に際し、私は解決金を払うつもりでいましたが、彼は気前がよくお金にはあまり拘らない人だったので、それほど高い金額は要求してこないだろうと思っていました。ところが先生は、「普段お金に拘らない人でも、離婚の慰謝料や解決金となると、けっこう高い金額を要求したりするものなのよ」とおっしゃる。そしてなんと、彼は先生のお言葉通り、私には払えないくらいの高額を要求し、最終的にはそこが争点となりました。こういったことについても、本当に先生の予測通りでした。そして先生は、このような場合への対処法もご存じで、私はそれを実行し、結果的に彼は私の言い分を飲んでくれました。本当によかったです。

二つめは、離婚協議中という問題を抱えたなかでも、常に精神的安定をはかることができ、仕事と介護がしっかり行えて、しかも毎日を楽しむ余裕すら持てたことです。カウンセリングは、もちろん無料というわけにはいきません。けれど私は、日常生活を円滑に過ごすためには、精神的安定がとても重要だと以前から感じていました。だから、仕事と介護を抱えながら離婚という課題に立ち向かうには、多少お金がかかっても精神面を支えてくれる高橋先生のような存在は必要だ、それにお金をかけても損はないだろうと考えたのです。そして、その判断は大正解だったと今では思っています。

先にも言いましたが、当初私は離婚を甘くみていたし、離婚までの出来事や過程について全然わかっていませんでした。だから、もし自分だけで離婚を切り出したり、協議を進めたりしていたら、自分の思い通りにならない彼の気持ちや時間のかかり具合に、きっとイライラし、不安になっていたと思います。 けれど、先生があらかじめ彼の反応や経過を予測して教えてくれていたので、不安にならず待つことができたし、イライラしないで済みました。

また、何をすべきかその都度教えてもらえたので、無駄に迷ったり悩んだりすることもありませんでした。それでも離婚協議では、相手と険悪になるので精神的ダメージは避けられません。 特に私の場合は、彼にこれといった非がないので、彼に本音をぶつけて傷つけること自体が本当に辛かった。協議のあとは、毎回気持ちがボロボロになりました。でも先生が、その度に電話で辛い気持ちを聞いてくれましたね。
共感してくれたり、励ましてくれたり、「大丈夫だから」と安心させてくれたり、「よくやった」と褒めてくれたり  それには本当に救われました。だからこそ気持ちを切り替えて、毎日の仕事と介護を頑張ることができました。特に仕事に関しては、離婚協議中、私は責任ある仕事をまかされ、期限までに考えるべきことややるべきことも多かったのですが、先生のおかげで精神的安定がはかれていたため、集中して行うことができ、無事責任を果たすことができました。この点は特に感謝しています。

三つめは、離婚成立までの間に先生といろんなお話をしたことで、夫婦関係に対してだけでなく、生きる上での大切なことにいろいろ気づかされ、学ぶことができたことです。

例えば、私が夫への罪悪感に苦しんでいることについても、先生はじっくりと話を聞いて下さいました。それについて先生と話し合い、自分でも改めて考えるうちに、その気持ちとどう向き合っていけばいいか、 前向きな心構えを持つことができるようになりました。さらにそういった経験を通して、他人のことを理解することが以前よりできるようになった気がしています。これからの人生に、それを活かしてゆきたいです。
また、こんなこともありました。離婚協議中に、私が指導した職場の後輩が「仕事が辛いからやめたい」と言ってきたのです。大切に育てた後輩だったので、その時はとてもショックだったのですが、たまたまその頃先生にご助言頂いていたことを応用して、その後輩に接してみたら、なんと気持ちを変えてくれたのです!

今では、いきいきと仕事を頑張ってくれています。「人の気持ちを動かすことほど難しいことはない」とはよくいわれ、 私自身もそう感じていましたが、先生のおかげで、元夫の気持ちも後輩の気持ちも動かすことができました。 離婚成立後には、これからを生きていく上での、特に新しいパートナーとの関係を築く上での大切なことをたくさん教えて下さいました。これからの人生で、ぜひそれを実践していこうと思っています。

以上、これまでのことを思い返しながら綴らせて頂きましたが、本当に先生には感謝してもし尽すことができません。何から何まで、どうもありまがとうございました。

またどうしようもなく辛いことがあったら、先生のところに伺わせて下さい。本当にどうもありがとうございました。自筆が拙筆ゆえ、活字での失礼をお許し下さい。

敬具

M.T.

夫婦問題カウンセラー 高橋知子からのコメント

M.T.さんの心に離婚の二文字が現れ始めたのは、結婚してから1年も経たないころからでした。

相談にいらした頃はとても悩んでいらっしゃいました。

私はM.T.さんの性格や気持ちがよく理解出来ましたので、M.T.さんをサポートして行く事にしました。

M.T.さんは自分の考えの甘さから夫婦の関係が上手く築けなかったとして決して夫を責めず、また、ふたりの相性の悪さをそのまま引きずって一生を終えることを良しとせず、結婚生活の解消を求めたのです。

M.T.さんは、夫婦として体の関係を持てないままの結婚生活にピリオドを打ち、新たな人間関係を求めて新しい人生をスタートさせました。これから、明るい気持ちで納得出来る人生を進んで下さい!応援しております 。

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