母親が子供に話をしている写真

離婚という言葉が頭をよぎった時に、子供を持つ多くの人が我が子の存在を考えてしまうことでしょう。子供は多くの場合、親の離婚について何も言いません。いいえ、言えないのです。 離婚を考えている親としては、まず子供が何も言えないことを前提に我が子のことを考えなければなりません。

離婚したくない方は、子供と離れたくない、もしくは子供が片親になっては可哀そうとの思いがあることでしょう。 しっかりと子供の気持ちを理解し、離婚を希望している配偶者と話し合っていかなければなりません。やむを得ず、 離婚することになってしまった場合でも、子供の気持ちをよく理解した上で、子供に対して向き合って下さい。

(このページは離婚を希望する方、離婚を回避したい方、離婚に迷いのある方、お子さんを抱えながら離婚問題に ぶつかっている全ての方にお読みいただきたいと思っております)

夫婦に関するあらゆるトラブルや悩みを解決する為に、毎日ご相談を承っております。 夫婦問題で悩みがある方は、是非、当相談室にお越し下さい。 夫婦や家族の問題の専門家である夫婦問題カウンセラーの知識がお役に立ちます。

子連れ離婚が増えている!

「離婚は子供が成人してから・・・」一昔前あたりまではそう考えるのが一般的でした。
「せめて、子供が18歳になるまで我慢しなさい」とよく言われたものでした。日本国中、どこでも誰でも、ほとんど同じように 離婚の相談をすれば、そのように言われていたのではないのかと思います。我慢すること、親になったら子供の為に 我慢することが当たり前の時代でした。

そのようなことから離婚に対する世間の目も今ほど寛容ではなかったので、離婚のハードルが現在に比べてとても高かったのです。 現代では年間21万件(約3組に1組)のカップルが離婚という選択をしているとされています。 離婚は子供が成人してから・・・という意識は時代とともに薄くなり、現代では乳児~低年齢の子供を 抱えての離婚も増加していると言われています。

しかし、この年齢は子供が人間関係の基礎を築くのに、親の存在がとても重要な時期なのです。 両親が仲良く一緒に暮らす家庭で生活し、両親の庇護の許で成長できることを子供は求めているのです。

親の離婚は、子供の年齢を問わずに大きなショックを受ける一大事です。 しかし、色々な知識・経験を経て、自立した(もしくは自立が可能な)年齢の子と、知識も経験も少なく、 ありとあらゆるサポートが必要な年齢の子とでは、親の離婚に対しての不安感やショックに大きな違いが あることは言うまでもありません。

一昔前に言われた「せめて、子供が18歳になるまで我慢しなさい」は、現代においても、尚、生きている言葉なのです。 それでも、修復が難しい子連れ離婚に直面した時、親や周りはどのように接すればよいのでしょうか?

離婚は子供にどんな影響を与えるのか?

子育てをしていると運動会、参観日、親子遠足、発表会、入園(学)/卒園(学)式などのイベントがあり、 親の出番は幼いほど多くなります。

近年の少子化、イクメンブームも後押ししてか、父親の行事参加率はとても高いと感じます。思春期を迎える頃であれば、 親が参加しなくてもさほど気にはしないのでしょうが、幼い子供には結構重要なことになります。

子供が特に幼い時期は、親との関わりを通して愛着を形成するとても重要な時期とされています。その愛着をもとに 基本的信頼感や自己肯定感を身に付けるのです。 だいたい2~3歳ころにはパパやママの不在などを認識できるため、どうしても別居や離婚となってしまった場合でも なるべく一緒にいる時間を作り、安心させてあげることがとても大切です!

また学童期~青年期は道徳観や社会性を形成する上でとても重要な時期ですから、両親の離婚が契機となって 様々な攻撃性や問題行動が出やすい時期と言えます。 この時期は、親以外の信頼できる大人や心を許せる友だちがいることが望ましいでしょう。

子供の発達段階によって受ける影響について

ここでは、子供の発達段階での特徴とどうしても避けられず離婚となってしまった場合の影響や 配慮すべき点について書いています。

1、誕生~1歳半

〔特徴〕
愛着形成期・両親や特定の相手との愛着・絆を形成する大事な時期です。 人への基本的信頼感形成期・母親を信頼し父親を受け入れることは、人を信じるという社会生活に必要不可欠な感覚の形成を意味しています。 他者の受容による自己肯定感の獲得期でもあります。

〔離婚の影響〕
両親との愛着・絆を形成する時期で、非常に大事な時期です。この時期は人間が生きていく上で一番大切な 基本的信頼感」が育つ時期です。 他者に対する信頼感以上に重要な自分自身に対する信頼感(自分は生きるに値し愛されるに値する人間で あるという感覚)この感覚が育たないとその後の成長が困難を極め、長期にわたって悪い影響が残ると言われています。

〔配慮すべき点〕
特に親権者となった父母どちらかの精神状態や養育環境を整えることが、小さな子供の心の形成に最も重要です。一般的に母親に引き取られることが多く妊娠中から夫婦間が不安定であったときなど、怒りが乳児に悪性投影されて赤ちゃんを可愛いと思えなくなり虐待が起きるリスクも高まる傾向にあります。 そのような悪影響が出ないよう充分な配慮が求められます。 祖父母や親せきなど周囲が充分な愛情を注ぐなどの協力体制が必要でしょう。

2、1歳半~3歳

〔特徴〕
基本的には1歳半までの特徴と変わりませんが、両親が揃っている、いないなどの判断や、状況判断などはできてくる時期です。

〔離婚の影響〕
突然の父親もしくは母親の不在が大きなショック体験となり、怖い夢を見る、音に敏感になる、 急に色々なものに怯えるなどの不安が強くなることもあります。

〔配慮すべき点〕
子供の成長過程から、母親とぶつかり合う時期でもあり、そのような時に父親の存在が特に重要であるため、 出来るだけ頻繁に会えるよう配慮した方が良いと思います。 何よりも子供の不安軽減に努め、片親の不在を子供にわかる言葉で説明し、これからも両親の愛情を受けら れると伝えて安心させることが必要です。

3、3歳~5歳

〔特徴〕
自分と自分を取り巻く社会を認識する時期にあたります。 考えが自己中心的ですから、自分がいつも家族から注目されている感が必要です。

〔離婚の影響〕
自己中心的な考えから、片親がいなくなったのは自分のせいではないかと考えるようになってしまったり、自分が変われば状況も変わるのではないかといった考えを持ちやすく、赤ちゃん返りをはじめとする退行や自傷行為がみられることもあります。

〔配慮すべき点〕
この時期は、家族の皆が笑っていれば「この幸せは自分がいるからだ」と自尊感情を高める時期でもあります。 健気に良い子になってしまったり、逆に退行行動が見られた場合も、離婚は子供のせいではないことや別れて暮らす親といつでも会うことが出来ることなどを繰り返し話して聞かせるなどの配慮が必要です。

4、6歳~8歳

〔特徴〕
善悪に対しての理解と判断が出来るようになってきます。 道徳観や社会性も形成されていきます。

〔離婚の影響〕
この時期の離婚は、出て行った親からの見捨てられ感が最も強く表れる時期で、もし自分がもっといい子であったら親は離婚しなかったのではないかという思いが非常に強い時期であり善悪の判断がつくことから、とても深く傷つくことも多く、生活環境の変化の影響も強く受けやすく、精神的負担から、虚言癖や盗みなどの問題行動が出る場合もあります。悲しみがどの時期よりも深い時期です。

〔配慮すべき点〕
親権者が子供の思いに目を向け、寂しい気持ちを愛情表現などで満たすよう努め、なるべく生活環境が変わらないよう配慮しましょう。 仕事の忙しさで寂しい思いをさせたり、一緒に暮らす親の異性との交際や再婚も充分注意が必要です。二重三重の喪失感を抱えてしまいがちです。 また、離れて暮らす親への気持ちを抑え込まないでいいと説明し、会いたがれば会わせてあげましょう。 よくあることですが、親から見て区切りがいいからとか、姓を変えるチャンスだからという理由で小学校入学と同時に離婚を決行する例がありますが、この年齢の子の精神的負担は計り知れません。

5、9歳~12歳

〔特徴〕
道徳観、正義感の強い時期です。 他者の視点に対する理解ができるようになります。 論理的に物事を考えるようになります。

〔離婚の影響〕
論理的、道徳的判断から、子供自身が正しいとする親への忠誠心、正しくないと判断した方の親への怒りが出る可能性があります。 両親の離婚への不満などを、その他の関係者や友達などに向けた攻撃性や問題行動を起こしやすい時期でもあります。

〔配慮すべき点〕
論理的に、かつ道徳的に考え、離れて行った親に復讐心も抱くこともあります。それと反対に愛着も抱く複雑な心理状態であるため、その片親を愛することにうしろめたさを感じさせないよう、周囲の人間は、離れて暮らす親の悪口などを決して言わないというような配慮が必要となります。

子供が離婚問題に触れたことによるショックから立ち直れるように、我々大人が伝えるべきこと

以上4点は理解してもらえるよう、何度でも必要に応じて伝えて欲しい事柄です。

親の離婚はどうしてもストレスと切り離せません。そして、親自身もゆとりの無い状態になりかねません。
離婚後のひとり親での子育ては、経済的精神的にゆとりがないとイライラ感が強く出て子供のしつけが非常に命令形になってしまいます。 そのような形に子供が反発し命令に従わないと、尚更、強制した言い方になり、悪循環の繰り返しが始まってしまう可能性を忘れてはいけません。

離婚原因を取り除き、夫婦が一緒に子育てが出来るようになれば、一番良いのですが、そのようなことが叶わない時にでも出来るだけ子育てについて協力体制が取れるように配慮しなければならない時代が来たと考えています。

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著者プロフィール

夫婦カウンセラー/離婚カウンセラー 高橋知子
夫婦カウンセラー/離婚カウンセラー 高橋知子
・夫婦カウンセラー/離婚カウンセラー
・JADP認定 上級心理カウンセラー
・夫婦関係専門カウンセリング (株)トータルサポートプラスの代表取締役。
・高橋知子横浜相談室を運営

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