離婚の基礎知識

離婚の種類と流れ・基礎知識について

離婚に伴う3つの問題

1、お金の問題 〔財産分与、慰謝料、婚姻費用の分担、年金等〕
2、子供の問題 〔未成年の子供の親権者、面接交渉権、養育費等〕
3、戸籍と姓の問題 〔結婚で姓を改めた方の戸籍と姓等〕

離婚の前に考えておくべきこと

1、生活費をどうするのか、前もって準備をしなければなりません。
特に専業主婦の場合には、職を探しておきましょう。また、配偶者が専業主婦の場合にも、前もって仕事を始めてもらうよう準備が必要です。

2、住居をどうするのかも重要なことです。
初めは、実家など、頼れる所があれば、頼るのもひとつの手です。

3、子供の保育をどうするか、子供が小さければ、保育所などを考えなければならないかもしれません。
また、子供の将来や教育のことも真剣に考え、養育費についても深く考えなければなりません。

離婚の種類と流れを示した図

離婚の種類(離婚には4通りの方法があります)

(1)協議離婚
夫婦の話し合いによって別れる方法です。
裁判所が関与しませんので、離婚理由も離婚条件も夫婦ふたりが同意出来れば問題ありません。夫婦が合意したうえで、 市区町村役場に「離婚届け」を提出し、受理されれば成立します。

協議離婚の場合、財産分与や養育費、慰謝料などお金のこと、面接をどうするかなど子供のこと、年金分割など、 自分たちで取り決めておく必要があります。子供がいる場合は親権を離婚届に記載しなければ受理されません。

また、離婚協議書を作って、後々、揉めることのないようにしましょう。離婚協議書は自分たちで作成することも出来ます。 詳しくは「協議離婚について」をご覧下さい

公正証書作成のおすすめ
養育費や、その他分割での支払いがある場合は、公正証書の作成をおすすめ致します。公正証書とは、 法律の専門家である公証人が作成する公文書のことです。公正証書を作成しておけば、いざという時に裁判を起こさず強制執行することが出来ます。

養育費の支払いが滞らないためにも作成をおすすめします。また、年金分割の割合を記載しておけば年金機構の手続きにふたりで行く 必要もありません。公正証書は公証役場に作成した離婚協議書を持参し依頼します。受け取る時には、夫婦ふたりで行き署名押印が必要です。 (代理を立てたい時には、事前に申し出なければなりません)


(2)調停離婚
家庭裁判所の調停によって別れる方法です。二人だけでは、話し合いが出来ない時には、調停を申し立てましょう。 また、離婚成立が難しく、裁判へ行く可能性がある場合は、早めに調停に進むこともあります。裁判の前には調停をしなければならないからです。 協議をして別れられない場合は、どちらかが家庭裁判所に調停を申し出て、お互いが合意すれば、成立します。

裁判と混同している人がいますが、調停には裁判のような強制力はなく、あくまでも調停委員を通した夫婦の話し合いですから、 離婚したくない人が「私はまったく別れるつもりがない」と意思表示をすれば、離婚が成立することは難しいと考えて下さい。 簡単に調停を申し立てても不成立に終わることも多いのです。

調停の申し立てをするには基本的に相手方の住所地の家庭裁判所に戸籍謄本1通、収入印紙1200円郵便切手代800円を添えて、 夫婦関係調停申立書を提出します。調停は担当する裁判官と調停委員男女各1名で構成される調停委員会が担当します。 妻と夫が入れ替わりで調停室に入り、調停委員と話し合いを進めていきます。だいたい1ヶ月に1度の割合で進められ 約80%が6ヶ月以内で終わっています。

調停は、本人の出席が原則ですから、弁護士を立てたとしても弁護士と一緒に出席することになります。離婚の同意、 子供の事やお金などの条件の同意が得られ、離婚が成立すれば、調停で決めたことが書かれた調停調書が作られ、調停調書の謄本をもらえます。

離婚届けを書く夫の写真
(3)審判離婚
調停を行った結果は、成立・不成立・審判移行の3種類です。
あまり数は多くないのですが、審判移行により離婚が成立することがあります。自分から審判離婚は申し立てられません。 審判事項は財産分与・慰謝料・養育費・親権ですが、そのうちの一つ程度が決まらずに成立しないような場合に家庭裁判所の判断で行われ 審判が確定すると離婚が成立します。 ただ、審判を受けた当事者または利害関係者が2週間以内に異議申し立てをすれば、 理由の如何を問わず効力は消滅します。


(4)裁判離婚
協議や家庭裁判所の調停、審判でも成立に至らなかった場合に、 夫婦の一方から、家庭裁判所に訴訟を起こし、裁判によって別れる方法です。 裁判では、法律で定められている特別な理由がない限り、離婚は認められません。 法律で定められている特別な理由とは、以下の5項目です。

・不貞行為があった時:結婚後に配偶者以外の異性と性的な関係を持った場合
・悪意で遺棄された場合:夫婦の一方が同居義務や相互協力・扶助義務をわざと守らない場合
・3年以上の生死不明:生存も死亡も確認出来ず、最後の音信があってから3年以上経過している場合
・回復の見込みのない強度の精神病:強度の精神病により共同生活が出来ず、回復の見込みがない場合
・その他、婚姻を継続しがたい重大な事由のある時:夫婦関係が破綻している・性的異常・暴行・虐待・酒乱・働かない・浪費・・など

離婚が裁判で認められるためには、5項目のうち、どれかの理由が必要となります。どんな場合でも、裁判所に判断を求めるのですから、 事実関係が分かる証拠が必要になります。とにかく証拠を残すことが大事です!!弁護士への依頼も必要になります。