親権者決定はどのようなプロセスで行われる?

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未成年のお子様がいるご家庭での離婚については、慰謝料などの金銭的な問題はもちろんのこと、それ以上に親権で争うことも少なくありません。離婚と子どもの問題でもご紹介しているとおり、子どもの親権者を夫婦のどちらか一方に決めなければ、離婚はできないとしているのが現在の法律ではありますので、親権者を争っている状況では正式な離婚は成立しないということです。実際の離婚届にも親権者を記載する欄があり、親権者未定の状態では離婚届けは受理されないという点では、他の争い事となりうる慰謝料や財産分与などとは性質が異なるものと言えます。とは言え、この親権争いにおいては、母親側が親権者とするケースが多いようなイメージがあります。父母ともに親権を譲りたくないというのが本音ではありますが、親権を争った場合、最終的には裁判所がそれを判断する以上、何を判断根拠に親権者を決定しているのかを知っておく必要があります。

一般的なご家庭の場合、夫が会社員で妻が専業主婦、もしくは妻がパートなどで多少家計を補助しているケース。もしくは、夫婦共働きで子どもを保育園などに預けているケースなどがありますが、相対的に見ると子どもと接している時間が長いのは妻の方であることが多い傾向にあります。もちろん逆の場合もありますが、父母いずれかを親権者として決めるうえで最も優先されることは、その子どもの生活や利益が最大限考慮されますので、そういう面ではこれまでの監督実績、つまり接していた時間という点は特に重要視される傾向にあるようです。実際に親権を争う裁判においても8割近くが母親を親権者とする判決に至っており、また10歳未満の子どもの親権については、特別な事情がない限り母親を親権者とするのが一般的です。

親権者決定に至る様々な要因は?

上述のとおり、親権者決定において監督実績は非常に重要な要素のひとつです。親権争いに至ると、多くの場合で「妻側には経済力がない」と夫は主張し、対する妻側は「夫は仕事が忙しく子どもの面倒を見ることができない」と主張します。互いにもっともな主張ではありますが、子どもにとっては、これまでどおりの生活ができるかどうか?(生活環境の維持)、そして親にとってはこれまでに以上に監護に対する意欲と能力が求められますので、客観的に考慮しても母親の方が優位になってしまうことは珍しくありません。父親が主張する経済的な問題においても、当然のことながら離婚後は養育費を支払う義務を負いますので、監督に対する時間的な制限を負いやすい父側と比較すると、多少生活が苦しくなったとしても、現状維持の原則という観点は維持できると言えます。

ただ、監督実績が長ければ必ずしも親権を得られるという訳ではありませんし、近年では「イクメン」と言われるほど、夫側も育児に参加し、積極的に愛情を注いでいるケースも少なくありません。上述のとおり、10歳未満の子どもの場合は多くのケースで母親が親権者となりますが、その背景には「幼い子どもには母親の愛情が必要」という考え方があるようで、仮に不貞行為やホスト狂いなど、母親としての適格性を欠いていた場合でも、父親が親権を取れない場合もあります。父親側からしてみれば、腑に落ちない点も多いこととは思いますが、母親側に余程の要因(子どもに対する暴力や十分な食事を与えないなど)がない限り、現状の裁判制度で父側が親権を得るのは相当ハードルが高いと考えておいた方が良いかもしれません。

父側が親権者となるケースもなくはない?!

親権争いにおいては、親権者指定の申し立てを行うことで裁判所に判断を委ねることとなりますが、父親を親権者として決定するケースもないわけではありません。10歳未満の幼い子どもについては、その判断能力や意思を考慮することはほぼありませんが、10歳以上になりますとある程度子どもの意思を考慮するようになり、15歳以上の子どもについては、裁判所は必ず子どもの意思を聞くことになっています。例えば、妻の浮気によって子どもを残して家を出てしまった場合、子どもたちは学校などの関係で現在の住まいに残り、妻が出て行っている間は父親が主に面倒を見ていたようなケース。先述のとおり、親権者決定には監督実績のほか、現状維持(生活環境の維持)が重視されますので、引続き父親との生活を維持するためにも親権者を父とする場合もあります。その他、妻側に適格性を欠くような行為があったり、父側の両親が子どもの面倒を見てくれる環境が整っている、父側の収入レベルが相当高いなどがあれば、父親側が親権を得られる可能性がない訳ではありません。

これまで述べたような背景があり、親権争いにおいては母側が優位であることは紛れもない事実です。父母いずれかが親権を得るにせよ、親権を取れなかった方は、面会交流権を確保して子どもとの面会の回数を増やせるよう交渉するなど、現実的な落ち着きどころを探った方がよいでしょう。

幼い子どもを持つ親の離婚問題において、特に母親(妻)から離婚の申し出があった場合には出来るだけ早くご相談にお越し頂いた方が

その後の父親と子どもの関係において力になれる可能性があるかと思います。

面会交流権についても離婚と子どもの問題にて詳しく説明しておりますので、そちらも参考にしてください。

【共同親権への動き】

実際の生活の中では父親も育児に参加することは一般的でもあり、子育てをしたい父親も多いため、離婚後の単独親権に対して不満を持つ父親も多いことと思います。

婚姻期間中は育児に参加しなければ文句を言われるのに、母親が離婚を希望した途端、父親が子どもとの接触を制限されるというのもいびつに感じます。

政府も離婚後も引き続き共同親権のままで子育てをしていくことを検討しています。

2024年4月離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案が参院で審議入りしました。

今国会で成立し、2026年までに施行される見込みになりました。

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夫婦カウンセラー/離婚カウンセラー 高橋知子
夫婦カウンセラー/離婚カウンセラー 高橋知子
・夫婦カウンセラー/離婚カウンセラー
・JADP認定 上級心理カウンセラー
・夫婦関係専門カウンセリング (株)トータルサポートプラスの代表取締役。
・高橋知子横浜相談室を運営

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