離婚後の養育費相場は?どこまで認められる?

離婚する夫婦に子どもがいる場合は、養育費負担が必要です!

 

養育費イメージ写真

 

離婚した夫婦に子どもがいる場合、まず決めるのが親権です。これは未成年(ただし未婚)の子どもを監督、教育し、財産などを管理するために父親または母親に与えられた権利と義務のことを言います。そして親権があるかないかに関わらず、父母には子どもの養育をそれぞれ負担するという義務が生じます。夫婦がともに生活している場合は金銭的にも精神的にも二人で子に対する養育をしていけばいいのですが、離婚した場合にはこの養育に関わる費用をそれぞれが分担しなければならないという点は、離婚とお金の問題ページでもご紹介しているとおりです。

親権者の取り決めについては、過去記事「離婚時に夫婦互いに決めておくべきこと?」でも取り上げておりますが、兎角金銭問題においては、しっかりと取り決めを行い、夫婦互いに取り決め内容に納得しているようであれば、公正証書として明文化しておくことが肝要です。特にお子様が小さいうちから離婚したご夫婦は、子供の成長につれ、進学などで多くの費用が必要になってきますが、その多くのお金が必要になる頃には、養育費の支払いが途絶えてしまっているケースが数多くあります。養育費の支払いを滞らせないためにも、財産差し押さえなどの強制執行権限を持つ公正証書を作成しておくことをおすすめします。

 

養育費とは具体的にどのような費用が含まれるでしょうか?!

 

 

子どもと一緒に生活し、養育する者を「監護権者」といいます。これは親権の一部でありますが、親権と監護権を別々にすることもできます。つまり、財産管理および法的手続きまでを行える親権と、それ以外の通常の子育てのみを行うのが監護権ということになります。通常、親権者は監護権者であることが多いと思いますが、親権者にならなかったから養育費を支払う必要が無いということではなく、親権とは無関係な義務なので、生活を共にしない親にも支払い義務が生じます。さて、養育費には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。おおまかに言うと子どもを監護し教育し、自立するまでの費用となります。一番大きいのは言うまでもなく教育費です。学校にかかる費用だけでなく、塾やお稽古などの習い事、交通費なども含まれ、さらに生活するために必要な衣料品、食料品、住居費、医療費、娯楽費なども当然含まれます。勘違いしがちなのですが、養育費とは子どものための費用であって、監護権者に支払われるものではありません。受け取る側もそこをしっかり認識し配慮しなければなりませんので注意が必要です。

実際に、養育費の金額はどのような取り決めをしたらいいのでしょうか。 ざっくり言いますと、金額と支払い方法や支払期間を決めることです。これは父母それぞれの収入と離婚するまでの生活レベルによって算定します。子どもが何歳になるまで支払いをするかは当事者の話し合いで決められますが、一般に高校卒業または18歳まで、成人するまで、大学を卒業するまで、とするのが多いようで、昨今では大学進学率の増加に伴い22歳までとすることが多いようです。また、当然ながら成長するに従って養育費も増えていきますし、決められた支払い以外でも、子どもが必要に応じて不足分を親に対して請求できるという権利もあります。いずれにしても子どもが社会人としてしっかり自立できるまで金銭的にも精神的にも養育する義務があるということを忘れないようにしなければなりません。

 

養育費の計算方法は「養育費算定表」がベース

 

上述のとおり、養育費のなかでも大きな割合を占めるのが学費です。 学費の総額は公立か私立かで違ってきますが、幼稚園から大学まですべて公立だと約1000万円、すべて私立だと大よそ2000万円程度は掛かるそうです。ただし、この数字はあくまで学費のみ。この金額に、さらに交通費や教材費、部活動費などが加わります。さらに日常生活で必要となる衣服、医療費、食費など、子ども1人分の生活費が入るとトータルで約2500万~3500万くらいは必要となる計算です。冷静に考えると、家1軒建てられるくらいの大きな金額ですが、実際にこの金額をどのように負担するのかが問題になるのです。

まずは夫婦互いの協議で決めていくわけですが、支払い義務のある側と受給する側の収入を確認し、お互いの最低生活費を決定した上で月々どの程度を負担できるかを確認します。できれば話し合いで決めることが理想ですが、それが難しい場合には離婚調停で調停委員に決めてもらうことになります。この時に「養育費算定表」というものが用いられ、数字が決定されます。これは東京と大阪の裁判官の共同研究により作られたものであり、家庭裁判所の離婚調停で養育費を決める際の参考資料として使われています。(養育費算定表はこちら

例えば、夫婦ともに給与所得者であり、支払い義務のある方が年収500万円だとします。権利者の年収が100万円で、子どもが1人(14歳以下)の場合には養育費は4万円~6万円となっています。しかし昨今では養育費の未払いや途中でストップしてしまうというケースが多く見られるようになっています。ですので上記の算定表はあくまで参考とし、夫婦お互いの経済状況を考慮しながら、子どものことを第一に考えて子どもが自立するまでの長い期間をしっかり払い続けることができるように努力しなければなりません。

そしてこの養育費算定表ですが、元々は平成15年に基準金額が策定されたものであり、昨今の物価水準を考慮すると、養育費が安すぎるという問題が度々指摘されてきました。シングルマザーの貧困問題もメディアで数多く取り上げらておりますが、現状の養育費水準では、日本国内の物価水準の変化に対応できていないことなどを背景に、日弁連が2016年11月に「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」を取りまとめ、最高裁判所長官や関係省庁に新算定方式・新算定表を提出しました。従来の算定書も同様、これ自体に強制力はありませんが、養育費額が旧来の算定初と比較しても総じて1.5倍程度に増額されており、より子どもの教育や福祉を重視した内容に変わろうとしています。裁判所がこの新養育費算定表を適用し、浸透するまではまだ時間が掛かる部分ではありますが、母子家庭の貧困問題の解決の糸口として期待されるところです。

養育費やお金の問題だけに限らず、離婚を決意した時点で様々な手続きや基礎知識、心構えなどメンタル面での準備が必要になってきます。不安なことも多いとは思いますが、そんなお悩みや不安においても適切なアドバイスをさせていただきますので、高橋知子横浜相談室をご利用ください。

● 夫婦関係・離婚問題にお悩みの方はこちらをご覧ください
→ 横浜の夫婦カウンセリング−高橋知子の横浜相談室

お役立ちコラム一覧へ戻る