離婚届を出す前に具体的な取り決めを!
離婚を考えるような夫婦関係ですから、できるだけ早く別れてスッキリしたい、この重い雰囲気から開放されたい、自由になりたい、と思うのが当たり前ですが、きれいに気持ちよく離婚するためにはそれなりの道筋が必要です。慌てずに落ち着いて離婚に対しての処理を進めていかなければなりません。具体的には「慰謝料」「財産分与」、そしてお子さんがいる場合には「親権」と「養育費」、「面会交流権」などです。これらを見てもおわかりかと思いますが、離婚の際に起こりやすいトラブルは、お金あるいは不動産などの財産にまつわることとお子さんに関する問題がほとんどなのです。これらの取り決めをしっかり行い、お互いがそれを守ってこそ、離婚成立後に気持ちよく新しいスタートが切れるというものです。 基本的な取り決め内容や最低限の基礎知識は「離婚の種類と流れ、基礎知識について」を事前に頭に入れておくと良いでしょう。
5つの取り決めの具体的内容とは?
上記でお話した5つの取り決めの具体的な内容をお話しましょう。離婚に関する「慰謝料」とは「結婚生活における貞操などが侵害された場合の精神的損害に対する損害賠償金」のことです。このように慰謝料は離婚の原因を作った人物がその配偶者に対して支払うべき賠償金なのです。もちろん、お互い不貞行為があり、双方に離婚原因があるという場合や、配偶者に対して不貞行為などがなく、お互いの性格の不一致がもたらす不和に関しては慰謝料という形はなく財産分与をすることになります。
夫婦で一緒にいた期間に作って来た財産は離婚になった場合には財産分与という形で清算します。この財産は同居している時の財産なのでその名義がどちらのものであっても共同の財産という考え方になります。別居期間の財産は共同財産とはなりませんのでご注意ください。同居していた時の一般的な財産分与の対象としては、預貯金、自動車、保険、株式、住宅があります。この中で一番大きな財産が住宅になるでしょうか。住宅ローンが払い終わっていれば単純に住宅の評価額で分与を決められますが、住宅ローンが残っている場合も多いと思います。住宅の売却予想額からローンの残額を差し引いた額を分けるということになりますが、場合によってはローン残額のほうが売却予想額より大きくなるオーバーローンのことも少なくありません。これはマイナス財産となりますが、これも財産分与の1つに入りますのでどのような形で整理するかが問題となるようです。
離婚時の揉め事で、金銭に次いでトラブルの多いが親権
次にお子さんに関する問題です。子どもが未成年の場合は親権者を決めなければなりません。親権とは教育を含めた子どもの生活全般の面倒を同居しながらみるという身上監護権のほか子どもの財産管理権や法的代理権が含まれるものです。父母のどちらかを必ず親権者に決めなければなりませんが、これは子どもの利益を一番の基準として考えるので子どもが小さいうちは母親になることが多いです。しかしながら保護者の収入や子どもの住宅環境とその変化への適応能力、子ども自身の意向なども考慮されます。途中で親権者を変更するには裁判所における親権者変更の調停手続きが必要ですので、親権者の決定は慎重に行いましょう。さらに養育費の負担の問題もあります。夫婦が離婚しても親には子どもを扶養する義務がありますのでそれぞれが子どもの衣食住、教育や医療などにおいて費用を負担し合います。
これは子どもが成人するまで毎月継続して支払われるべきものとなるのでしっかりと協議すべき事柄の1つです。また、面会交流権も決めなければなりません。これは別居している親子が面会できる権利のことです。別居している親子の関係や離婚する夫婦の関係にもよりますが、月に何回かを決めて面会することが多いようです。しかしケース・バイ・ケースで、関係良好な場合にはもっと頻繁なこともありますし、遠方に住んでいて物理的な問題がある場合には数カ月に1度というケースもあります。いずれにしてもしっかり話し合って子どもの不利益にならないようにすることが大切です。
※過去記事「離婚時の親権争いは、なぜ母親側が有利なの?」も合わせてご参照下さい。
決めたことをしっかりと記録に残すことが大切!
上記のように離婚の際にはたくさんの取り決めや約束事が必要となります。離婚とお金の問題でもご説明しているように、これらを口約束だけで済ませると約束事が誠実に行われなかった場合には、言った言わないなどのトラブルに発展する恐れがあり、心身の疲労をもたらします。通常夫婦であったものが離婚する際には、話し合いで離婚を申し立てる「協議離婚」となりますが、上記でお話したような各種条件を離婚協議書として作成し、お互いに保管しておくことがトラブル回避にはとても重要です。
特に金銭にまつわるトラブルには公正証書が有効となります。これがあれば支払義務者に対して裁判を行うことなく強制執行ができるのです。そのためにも離婚届を提出するまでに夫婦ともに納得できる条件を譲歩しながら話し合いで成立させることが必要です。とかく自分の主張を誇示してしまいがちですが、それに固執してしまうと協議が滞ってしまい精神的にも良くありません。上手に相手の主張とのすり合わせを行って柔軟に条件をまとめることに気を配ることが円満解決への道筋となるのです。
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・JADP認定 上級心理カウンセラー
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