離婚後のクレジットカード・家族カードについて

様々な手続きのなかで忘れがちなクレジットカード

 

クレジットカード等の写真

 

離婚が成立した際には、夫婦互いに様々な手続きが必要となります。生活に直接関係してくる戸籍の問題や、引っ越し等に関連する住所変更、免許証の変更などは忘れてしまうと支障を来すため、多くの場合でそれら手続きを怠ることはありませんが、意外と盲点となるのがクレジットカードの家族カードやETCカードなどです。改めて説明の必要はないかもしれませんが、クレジットカード会社が発行する家族カードは、ほとんどのカード会社で対応している本会員に付随するご家族用のクレジットカードで、その多くの場合で本会員が夫、そして奥様が家族カードを持つというケースです。決済代金の引き落としは本会員である夫の口座となりますので、夫名義のクレジットカードが2枚あって互いに使えると言えば分かりやすいと思います。

昨今はキャッシュレス化が進んでいることもあり、何かとクレジットカードを日常的に使うことが多くなってきております。離婚成立後は、当然この家族カードを返してもらうか、もしくはクレジットカード会社に解約を申し出る必要がありますが、この手続きを忘れてしまったり、互いに気付かずに使い続けてしまったりすることが少なくありません。特に金額的にあまり目立たない高速道路料金などは見落としがちで、奥様が車を運転するような場合には、ETCカードをそのまま使い続けてしまったりするケースは決して珍しいことではありません。また、不仲による離婚においては、わざと限度額上限まで使い込んでしまうようなケースもあるようですので、離婚が成立した時点で忘れずに解約をしておくようにしましょう。

 

仮に使い込まれてしまった場合、不正利用として支払い拒否できるか?

 

 

クレジットカード会社の扱いにも因りますが、多くのカード会社においては、離婚成立の有無は関係がなく、妻や子が使用した家族カードにおいては、本会員である夫に支払義務が生じるとされているところがほとんどです。カードの不正利用においては、近年被害が拡大していることもあり、カード会社も比較的保証が充実してきておりますが、家族間における不正利用においては、家族ぐるみでの不正利用も可能となってしまうことから、免責対象となっていることが多く、こうした保険や保証が適用されないというのが一般的です。繰り返しとなりますが、カード会社において離婚の有無は関係ありませんので、不正利用として支払いを拒むことは現実的に不可能だと思われます。

実際に別れた妻が家族カードを不正利用した場合はどうなるでしょうか?
こうした場合は、カード会社には通常どおり支払いを行い、後から元妻に対して利用額分の損害賠償を請求することになります。もちろん、悪意をもって家族カードを上限まで使い込むケースは論外ですが、すっかり忘れていてそのまま使い続けてしまったという場合もありますので、即座に内容証明を送付するのではなく、まずは「お金と家族カードを返して」と交渉するのが良いかもしれません。ほとんどのカード会社が、電話一本でカード利用を停止してくれますので、元妻が家族カードの返却を拒んだりしたとしても、カードを停止してしまえば問題ありません。ただし、解約の場合はカード自体を返却しなければならない場合があり、返却が不要な紛失届けになりますと、カードを使用した元妻がカード盗難や詐欺などの疑いを掛けられる場合がありますので、必ず事前に元妻側に伝えておくようにしましょう。

 

離婚成立前の別居状態での家族カード使用について

 

離婚を前提とした夫婦に多いトラブルのひとつとして、別居中における家族カードの利用が挙げられます。別居中においては、当然まだ家族ではありますので、家族カードを渡されている奥様が、家族カードを使用する権利はあると言えます。もちろん、夫側としては心情的にも納得いかないと思いますが、妻側の主張の多くは婚姻費用として当然の権利という言い分になると思いますので、カードの返却を求めても断られるケースが多いかもしれません。もちろん、強制的にカードを停止してしまうこともできますので、婚姻費用をしっかりと渡している状態であればカードの停止も止む無しですが、十分な婚姻費用を負担せずに家族カードを停止しても、新たに奥様自身でカードを作って、そのカードで生活費を捻出していたような場合は、夫側にも支払い義務が生じる場合があります。

別居においては、夫婦互いに異なる生活を送ることとなりますので、別居先の家具を揃えたり、当然の生活費を捻出するためにカードでキャッシングをしたりと、様々な問題が生じてきます。カードを使う権利は当然と考える妻側と、勝手に使ったお金など払いたくないとする夫側で、意見が真っ向から対立することになりやすいケースですが、よほどの長期別居の場合以外は、婚姻費用として夫側の負担になることが多いようなので、しっかりと婚姻費用を負担して家族カードの使用は止めさせるなど、互いに納得できるよう当初から話し合いをしておいた方が良いかもしれません。

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