子どもの転校を伴う離婚の留意点

小中学生の子どもがいる場合の離婚時の留意点は?

頭を抱える子どもの写真

 

離婚時における懸念点の1つとして、小中学生の子どもにおける姓の変更や転校の問題があります。子どもがおらず、夫婦だけでしたら両者の合意があれば離婚がスムーズに進みますが、子どものことを考えると、離婚を躊躇う人も少なくないのが現実です。苗字の問題は、過去記事「離婚成立はいつ職場や各所へ報告すればいい?」でもご紹介しているように、離婚届の提出後3か月以内であれば、どちらの姓を名乗るかを選択できますので、お子様への影響を考慮して、そのままの姓を継続することが可能ですが、離婚に伴う転居により転校を余儀なくされる場合は、お子様の精神的負担を十分に考慮したうえで、転校の可否やそのタイミングを熟考しなければなりません。

子どもがいるご家族の離婚においては、親権者が母親になることが多いのですが、姓の問題においては、心理的にも「離婚したのだから、今後前夫の姓を名乗りたくない」と考える人も少なくないはずです。ただし、それは母親だけの独りよがりであり、お子様の年齢にも因りますが、姓が変わることによって、最悪学校でいじめられるきっかけになってしまったり、それによって不登校になってしまったりと、想定していなかった事態に見舞われる可能性もあるのです。子どもにおける姓の変更や転校においては、今後どのような影響を受けるかを計り知ることは困難ですので、様々な影響を考慮して、お子様に対してしっかりと心理的なサポートを行ってあげることが肝要です。

 

母親が戸籍(姓)を変えなければ問題はない・・・?

 

 

姓を変更することは、様々な箇所で姓の変更手続きを取りますので、当然のことながら小中学校等においてもその日から苗字が変わることになります。細かな話かもしれませんが、姓が変わるという事は、出席番号が変わったり、席順が変わったりする可能性があります。子どもたち同士では、それほど影響はないかもしれませんが、親同士の噂話などで「姓が変わった=離婚した」という事実が広く伝わってしまい、それが親から子どもたちに知らされることになるので、子どもたちに話が伝わるまでには、根も葉もないことが付け加えられてしまっている可能性もあります。

中学生くらいの子どもたちであれば、友達同士も大よそ察してくれるかもしれませんが、小学生くらいであれば「なんで名字(姓)が変わったの?」と悪気もなく尋ねてくるでしょう。クラスメイトたちは意地悪で聞いている訳ではなく、単なる好奇心でのことであることが大半ですが、本人からしてみれば嫌な気持ちになるかもしれませんし、心のどこかで傷を負ってしまうかもしれません。仮に姓を変えなかったとしても、父親不在というのは学校の様々なイベントの中で、父兄の間では徐々に悟られてくるものです。離婚したという現実を小さなお子様に理解させることは難しいことかもしれませんが、その現実を曖昧にしてしまうことで、様々な精神負担を強いられてしまう恐れがあることを考慮すると、早い段階からしっかりと離婚の事実を母子ともに受入れ、学校での対応やクラスメイトたちの対応を一緒に話し合っておくことも大切です。

 

離婚に伴う子どもの戸籍変更手続きについて

 

離婚が成立したら、母親は前夫の戸籍から抜けて結婚前の姓に戻る(復氏)か、婚姻時の苗字を継続し、新たに自分の戸籍を作ることができる点は過去にもお伝えしたとおりですが、子どもについては何も手続きをしなければ前夫の戸籍に残ってしまいます。もちろん、戸籍と親権者は別物ですので、仮にお子様が引き続き前夫の戸籍に残ったとしても親権者は母親という事も起こり得ますが、お子様の戸籍も母親の新たな戸籍へ移すというのが多いようです。お子様の姓が変わることを避けるのであれば、母親のみ戸籍から抜け、お子様は前夫の戸籍に残り、親権者が母親、つまり母親と子どもの苗字が異なるというケースも珍しくはありません。

子どもの姓を変更する場合には、子どもの戸籍謄本と新たに作った自分の戸籍謄本の2つを用意し、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所へ「子の氏(姓)の変更許可審判」を申立てます。この申立てについては概ね認められますので、間違いなく認められた姓の変更許可審判書が手元に届き次第、それを添付して入籍届を提出すると元配偶者の戸籍に居た子どもが自分の戸籍に入り、同じ姓を名乗れるようになります。この手続きは、子どもの転園や転校より先に戸籍と姓をどうするか早めに判断して行動した方が良いでしょう。

 

離婚に伴う転校手続きの流れについて

 

次に、離婚に伴う転居についてどのような手続きが必要になるでしょうか? 離婚に伴い母子で引っ越しをして学校も変わるケースが多いものです。まず、保育園の場合は市区町村の役所に「転園申込書」があるので、こちらに記入し提出します。保育園にしても幼稚園にしても転居先の希望する受け入れ先に空きがないと転園はできません。転居が決まったら早めに転入希望先に申し込みの連絡をしたほうがよいでしょう。

小中学校の義務教育過程においては、いくつか手順を踏まなければなりません。まず、学校に転校を告げて「在学証明書」「教科書給与証明書」を発行してもらいます。転出先での住所変更の後に「転入学通知書」が送られてくるので「転入学通知書・在学証明書・教科書給与証明書」の3つを転校先の学校に提出します。転校のタイミングについては、学年が変わる4月が良いと言われますが、新しい友達が来て新鮮な空気になるのか二学期からの転入でも意外とクラスに馴染めることもあるようです。いずれにせよお子様の気持ちをしっかりと聞いて動くのが良いと思います。

公立高校の場合は「在学証明書」のほか、「成績証明書」「単位修得証明書」「転校紹介書」が必要です。義務教育ではない高校の場合には手続きが都道府県で異なりますので、詳細については転出先の教育委員会へ問い合わせることをおすすめします。上記はいずれも公立学校の場合ですが、私立の中学・高校の場合には都道府県の「私立中学・高等部学校協会」へ連絡し、編入希望の学校へ直接手続きを申し込むという手順になります。

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